~宮城県石巻市で被災した障がい者福祉事業所の最新の活動について~
(2016年7月/運営支援を行ってきた施設の新事業所開所式のご報告)
宮城県石巻市は、東日本大震災によって甚大な津波被害を受けた場所の一つです。
最大波8.6mと言われた津波により、障がい者福祉事業所「こころ・さをり」も全壊しました。しかし、震災後も職員の自宅や福祉避難所で活動を続けてきました。
2011年8月には仮設住宅の集会所を間借りして仮設事業所を立ち上げ、障がい者の見守り支援事業を再開
2014年10月、事業所再建費用の一部として、サンキョー株式会社様からのご寄付をもとに、100万円の支援
その後も2015年度には、さをり織り商品の販路拡大を目的として、当会と共同で支援を続けてきたAAR Japan [難民を助ける会] によるチャリティコンサートや報告会等のイベントでの商品販売、都内の企業への訪問販売会の実施、商品のチラシ掲載に協力してまいりました。
貴社をはじめ、さまざまな方から温かいご支援を頂戴し、このたびようやく新事業所の建物が完成いたして新たな施設は「こころ・さをり」を改称して「織音(おりおん)」と名付けられ、2016年4月17日に執り行われた開所式にはAAR Japanの仙台事務所職員が出席いたしました。
開所式には地元の福祉関係者やボランティア、利用者(障がい者)の保護者を含め約30名が集まり、関係者のあいさつの後、利用者とボランティアによる竹製オカリナ演奏などが披露されました。
施設の最新の運営状況を確認したところ、「織音」は現在、障害者自立支援法にもとづき「就労継続支援B型」、「地域活動支援センター」と呼ばれる2種類の事業を運営しおります。
「就労継続支援B型事業」では、7名の利用者が月曜から金曜まで通所し、「さをり織り」の商品を作って工賃を得ています。
この「さをり織り」と呼ばれる織物は、色彩や素材、織り方の制約が少なく、個々の感性を自由に表現しやすい手織りの工芸品です。
このため、障がいのある方々も創作活動を楽しみながら商品づくりに取り組むことができます。
もう一つの「地域支援センター事業」では、心に悩みを抱える5名の利用者が週1~2回、楽器演奏や運動など、さまざまなレクリエーション活動を行っています。
今後は、この施設開所に伴い、品質や生産性の向上に必要な備品の支援をAAR Japanとともに検討しております。
以下、簡単ながら、利用者の方と施設長のコメントをご紹介いたします。
利用者(20代の方):
「かわいい建物に移ることができて嬉しいです」
施設長(熊井睦子氏):
「石巻市復興のシンボルのひとつとして、一般就労や就労移行支援を受けることが困難な方々を対象に、これからも生産活動や社会参加の機会を提供し、自立に向けた支援を行っていきたいと思います」
支援先 | NPO法人 輝くなかまチャレンジド |
施設名 | 共生型福祉施設「織音(おりおん)」 (旧称:地域活動支援センター「こころ・さをり」 |
所在地 | 宮城県石巻市中浦1-2-62 |
事業内容 | 就労継続支援B型事業、障がい者地域活動支援センター事業 |
利用者数 | 12名(2016年4月現在) |
支援内容 | 仮設事業所に代わる新施設の開所支援、商品の販売促進の支援 |
協力 | AAR Japan [認定NPO法人 難民を助ける会] |
温かい雰囲気が伝わってくる「織音(おりおん)」の正面玄関。
ご支援により、ようやく新しい施設が完成しました。
(2016年4月17日、宮城県石巻市)
オープニング・コンサートでは、利用者と地域ボランティアの皆さんが
一緒に竹製のオカリナを演奏して開設を祝いました。
曲目は「きっころの唄」。
(2016年4月17日、宮城県石巻市)