~福島県における障がい者の仕事づくりと、障がい者作業所の組織基盤の強化~
(2016年7月/協働プロジェクトに関わっている障がい者同士の交流会)
福島県では、東日本大震災に伴う原発事故の影響により、避難指示区域となった地域に拠点を置いていた多くの障がい者福祉事業所(以下、「事業所」)が、内陸部の郡山市などへの移転を余儀なくされました。
移転によって従来の取引先を失い、移転先での新たな商品づくりや取引先の開拓が難しい事業所がある一方、移転を免れることができても、風評被害などから既存商品の製作だけでは障がい者(作業所の利用者)に対して十分な工賃を支払えない事業所があるなど、被災から5年半を経た今も多くの課題が残されています。
これらの状況を打開するため、福島県双葉郡から福島市・二本松市・郡山市・田村市などに避難した8つの事業所と、郡山市の4つの事業所が連携し、「障がい者協働プロジェクト」を開始しました。
当会の姉妹団体AAR Japanは、このプロジェクトの事務局を務める「しんせい」(郡山市)をカウンターパートとし、2014年から協働プロジェクト商品である焼き菓子「ぽるぼろん」の製造・販売体制の強化を支援してきました。
さらに2015年からは、田村市の1つの事業所が加わって全体で13事業所となり、「ぽるぼろん」に加え、布製品の製作を行う「ミシンの学校」の立ち上げを行い、現在も同プロジェクトの継続、発展に向けた支援を行っています。
この協働プロジェクトに参加している事業所の職員同士は、これまで、研修会や打ち合わせを通じて交流の機会がありました。
しかし、障がい者作業所の利用者の方々が集まる機会はなく、どんな仲間たちと一緒に仕事(商品の製作など)をしているのかわからない状況にありました。
そこで、プロジェクトの事務局を務めるしんせいが中心となり、今年7月26日に二本松市 市民交流センターにて、『協働プロジェクト全体交流会~7月だヨ、全員集合』を開催し、AAR Japanも協力団体として参加しました。
交流会当日は、各事業所の利用者(障がい者)や関係者だけでなく、プロジェクト商品の開発に協力してきた企業の関係者も含めた約120名が参加しました。
はじめに事業所同士で紹介を行った後、歌とダンスの発表、じゃんけん大会、会食などの催しが行われました。
各事業所の紹介は、障がい者の方々が中心になって行いました。
大勢の前で普段の取り組みを発表したり、同じ目標に向かって頑張っている多くの仲間の様子を知ることができる、貴重な機会となりました。
AAR Japanと当会は今後、商品の受注管理システムの導入や、製菓道具の提供、新デザインのパッケージ制作といった各種の支援を予定しております。
最後に、交流会参加者の方の声をご紹介いたします。
- ◇利用者(20代):
- 「知らない人がたくさんいて、仲間が思ったより多いと驚いた」
- ◇事業所職員(二本松市):
- 「最後に次回主催者のバトンをいただいたので、今後も協働事業を持続的な活動とするべく、積極的に関わっていきたい」
上記の「しんせい」(福島県郡山市)には、2013年度にもサンキョー株式会社様のご支援により、遠方の避難先から作業所に通う障がい者のための送迎ドライバー雇用を支援いたしました。
このように被災地で活動する方々との継続的な関係性を大切にしたいと考えております。
支援先 | 福島県双葉郡から周辺市町村に避難した障がい者福祉事業所8団体及び、福島県郡山市の障がい者福祉事業所5団体 |
支援内容 | 上記13事業所の利用者(障がい者)と関係者等の交流会 |
実施日時 | 2016年7月26日 |
会場 | 福島県二本松市 市民交流センター |
参加者数 | 約120名 |
協力 | AAR Japan [認定NPO法人 難民を助ける会] |

約120人が集まった交流会では、じゃんけん大会も行い、盛り上がりました。
(2016年7月26日、福島県二本松市)

東日本大震災後に避難した群馬県から福島県双葉郡広野町に帰還し、活動を始めて間もないワークコスモスの皆さんによる事業所紹介。
発表している利用者さんが、アドリブで自作のポエムを披露してくれました。
(2016年7月26日、福島県二本松市)